【パリーグ戦力分析2022】ロッテ野手編

戦力分析野手編

<捕手編>

ロッテの非常に大きい穴となっているポジションです。多くマスクを被ったのは田村、加藤でした。田村が離脱して以降、佐藤や柿沼が被りましたが守備面の問題から後半戦はトレードで獲得した加藤がマスクを被りました。加藤の影響かどうかは定かではありませんが、後半戦チーム防御率が格段に良くなりました。ただ、それを全て加藤の影響と考えるのにはさすがに無理があります。さらに、加藤の打撃スタッツは(出塁率/長打率/OPS).128/.171/.300と捕手とはいえ許容できる範囲をさすがに超えており、正捕手として使い続けることはチームにとってかなりマイナスの可能性が高いです。田村がフルで出続けられるならば一番いいのでしょうが近年怪我しがちであり22シーズンもフルでは計算しない前提での編成をした方がよいでしょう。田村がいない場合は打撃では良いものがある佐藤を使いつつ、加藤で守備面でのマイナスを補う形がセイバー的には理想でしょうか。ロッテの捕手が課題であることはもちろん首脳陣も理解しているため、ドラフトで強打が期待される松川を獲得しましたが高卒であることを考えると22シーズンでの出場はさすがに厳しいと考えるべきでしょう。ロッテは捕手をどのように運用していくのかが22年を戦うカギになりそうなので注目です。

<一塁手>

レアードが多く出場したポジションです。b9を獲得しましたが、WARは0.5とそこまで高くありません。打撃指標ではもちろんプラスですが、そこまで高くなく、守備面でのマイナスをカバーしきるほどプラスを出し切れていないといったのが彼への評価です。打撃指標が伸びない主原因は彼の出塁率でしょう。別にややこしい話ではないので、WAR0.5が理解できない方のためになんか機会があればその内もう少し詳しく話します。

そんな中で期待が寄せられるのは22年で4年目となる山口でしょう。後半戦の8月,10月はops.800を超える活躍で来季への期待を抱かせました。そして忘れてはいけないのが井上です。彼が2018,2019年のような活躍ができればロッテのファーストで最もWARを期待できるのは彼でしょう。山口を成長させながらレアードや井上でマイナスを作らないようにカバーしていくのがよいでしょう。本来レアードはDHの方がWARが高くなるでしょうし、ロッテはDH枠を有効に使えているわけではないのでレアードがDHで使えるならよりスキのない打線が形成できるはずです。

<二塁手>

ロッテでもっとも安定して戦力が計算できるポジションでしょう。球界全体でみても山田浅村菊池など歴代でも屈指のセカンドがいる時代の選手のためあまり目立ちませんが過去3年の累積WARはセカンドの中では菊池より高く、3番目です。打撃でも守備でもコンスタントにプラスを出し続けていて4年連続で全試合出場しており、22年も大きな怪我がなければWAR3.0~5.0程度が期待できるでしょう。しかし、22年オフには国内FA権を取得します。セカンドに困っているチームは多く、宣言すれば獲得に動く球団は多いでしょう。しかし、ロッテは内野のプロスペクトが現状あまり育っているとは言い難い状況です。平沢福田茶谷西巻小川といった選手たちは若手は二軍でも苦戦していて中村が流出してしまうと長期的な編成の面では非常に厳しいです。新たなプロスペクトとして池田を獲得しましたが実力は不明です。彼が大活躍する可能性があっても中村を流出させてしまうのはロッテの編成上かなりの損失でしょうし、必ず流出阻止するべきでしょう。

<三塁手>

安田と藤岡が中心としてポジションにつきました。安田は前年長い間貧打に苦しんだチーム内でも4番として我慢して起用され21年は飛躍を期待されましたが、今年は5月以降目立った成績を残せず、ほとんどリプレイスメントレベルの成績でした。藤岡は微マイナス程度の打撃ですが、ショート守備でのプラスがあるためWARではそれなりにプラスを出しています。打撃は安田、藤岡ともに微マイナス程度です。また、後述しますが、遊撃手でエチェバリアもいますが、彼は打撃面で.220/.314/536(出塁率/長打率/OPS)と非常に問題があります。守備でも身体能力の高さから素晴らしいプレーもしますが、イージーミスも多く、守備率.969と低く、UZRでも失策抑止の面で大きくマイナスを記録してます。本来はこのポジションに安田を置いて、藤岡やエチェバリアをショートで併用していく予定だったのでしょうが、安田が首脳陣の予想よりも伸び悩んだことで、終盤のサード藤岡ショートエチェバリアの起用法を取りましたが、正直あまり上手くいってるとは言い難いです。22年はエチェバリアがどのようなパフォーマンスを発揮するのかわかりませんが、先述した池田はサードもできるため、安田池田の競争をさせていく起用が中心となりそうです。どちらかがレギュラーを掴んでくれれば長期的にみても強いチームを形成できます。

<遊撃手>

藤岡とエチェバリアが中心として試合に出ました。結構三塁手のところで書いてしまったのですが、22年は藤岡を中心として、エチェバリアはサブといった起用が21年の成績てきには妥当に思えます。しかし、22年はどのようなパフォーマンスを出すのか全く予想できないため21年の成績だけで22年はこうとは簡単には言えません。藤岡のUZRはプラスといいましたが、UZRにはブレが起きる可能性がもちろんあります。要するにたまたま高くなる可能性もあるということです。そして藤岡は入団してから長らくUZRはマイナスでした。22年はまたマイナスに戻っても不思議ではありません。また、エチェバリアも2度怪我で離脱していますが、彼の貢献度には怪我の影響もあったかもしれません。こればっかりは開幕してみるまでどういう起用法が最適かはわかりません。

<左翼手>

荻野が中心として出場しました。彼としては初めて全試合出場を果たしました。高い出塁率とある程度長打の期待でき、俊足と間違いなく21年でパリーグNo1の一番打者でした。そして、レフトでは12球団で2番目のUZRを叩き出し、センターでも370イニング程度ながら2番目のUZRと守備でも非常に高い貢献度を見せました。しかし、22年で37歳となる年齢です。どこまで高いパフォーマンスを維持できるのか分かりません。外野での出場が考えられるプロスペクトとしては和田、藤原、高部、佐藤、山口が考えられますが、どの選手も高いポテンシャルはあるものの、一軍ではなかなか殻を破れない選手が多いです。後述するマーティンもあまり若くありません。荻野やマーティンが衰える前に若い選手たちに一軍で活躍してもらいたいものです。

<中堅手>

荻野、藤原、岡が中心としてポジションにつきました。一番多く守ったのは藤原ですが、優れた守備範囲をもつものの、肩を故障した影響から、高校時代の強肩は現在は影を潜め、あまり送球面での貢献はできていません。打撃面では7,8月の月間MVPを獲得するなど高いポテンシャルは持っているものの、終盤には大失速してしまい、結局打撃面でのプラスはほとんどないという結果でした。井口監督が目指す黄金期ロッテを作っていく上でキーとなる選手でしょうし22年も多く起用されるでしょうが、22年こそはレギュラーとして定着してほしいですね。また、岡は少ない出場ながらそれなりに高い貢献度を見せました。この選手も身体能力やパワーなどは高いので、アベレージを残せるようになれば大きく飛躍する可能性もあります。ただ、若くはないので、スター性なども含めて考えるとファンや首脳陣的には本命は藤原なのでしょうが。

<右翼手>

マーティンが中心でした。打率から考えればかなり高い出塁率とその長打から高い打撃貢献度と範囲は広くないものの、非常に強い肩での守備貢献など非常に優れた選手です。怪我での離脱などはありましたが、現状のプロスペクトの燻ってる様子的に22年もロッテは彼の力が必要でしょう。そして彼も若くありません。先述した選手たちがはやくレギュラーの座をつかめればロッテの黄金期がくるかもしれません。

<指名打者>

パリーグ全体が指名打者をあまり有効に使えていません。ロッテでも色んな選手がDHで出場しましたが、あまりうまくいっていません。レアードがDH出場時の成績(ops.904)が良いです。一塁手の時も書きましたが、山口や井上で一塁を埋め、レアードがDHの方がチーム全体としての穴が埋まるはずです。山口の台頭、井上の怪我からの復活に期待といった感じですね。

<まとめ>

投手とあわせてみてきましたが、若い戦力次第といった感じです。プロスペクトたちが首脳陣の期待通りに成長してくれていればAクラス、優勝できる戦力はあると思いますが、現実はそこまで甘くありません。また、どのチームにも言えることですが、現戦力の劣化も考慮しなければいけません。正直開幕して見ないと分かりませんが、現戦力だけで考えると、オリックス、楽天、ソフトバンクよりは若干遅れを取るといった評価が妥当でしょうが、若手も経験は積んできているので大きく跳ねても不思議ではないです。開幕を楽しみにしましょう。 

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