こんにちは。最後となる西武編です。セリーグは暇だったらやります。正直あんまり見ないので数字だけの評価になっちゃうんですよね。まぁ今も数字メインではあるのですが。ある程度は知っているんですけど、数字だけじゃわからないこともたくさんあるので。
いつも通り得失点表です。得点521(パ5位)失点589(パ6位)得失点差-68(パ6位)でした。得失点差の観点からは今年の最下位は妥当だったようです。また、WARでも5位の日本ハムにも差をつけられて6位です。大きな差をつけられている原因は投手陣です。野手も野手なのですが、その話は後で。
その課題の投手陣整備ですが、ドラフトでは4球団競合の末に即戦力候補の隅田を引き当て、2位指名でも隅田と同じレベルで期待されていた佐藤を指名することができました。西武の21年の左腕勝利数はなんと2勝と深刻な左腕不足です。そのポイントにマッチした指名できました。また、4,5位でも未来のローテに入ってきてほしい羽田や黒田を指名しました。そして野手含めた21年までに在籍した外国人野手を全てリリースし、外国人を投手を3人、野手を2人獲得しました。投手はバーチスミス、ディートリックエンス、ボータカハシを獲得しました。成績やこの外国人や新獲得投手の評価は最後に行います。最初はいつものように弱点や強みを分析します。
<先発>
主な先発投手の指標 Aveはパリーグ先発平均
今回からちょっと表記を変えてみました。こっちのほうがすっきりしたのでしばらくこっちにします。
指標上も苦しいですし、実際の防御率もまぁ厳しいです。チームトップWARは松本の2.7です。西武投手陣は全体で三振が取れなくて、(パ6位で947、1位は1199)与四球も多い(パ6位で597、1位は383)です。西武に詳しい方なら誰もがご存じでしょうが、これは西武の永遠の課題です。どっちも改善しなくてはいけないのですが、どっちが改善しやすいのかは正直素人の僕にはわかりません。菊池雄星が主要成績も指標もものになったのですから素材が良い投手ならばどうにかなる気がするんですけどね。
今井、高橋、松本は指標は苦しくても規定投球回に到達し(松本はリリーフでも数イニング投げています)、3人で43QSでかなり試合は作りました。チーム全体のQSは54QSで37.76%なので彼らの力はかなり大きかったでしょう。指標は悪いですが、彼らの指標がどんなに悪かろうが、それ以上の投手がいないのが現状の西武ですし、彼らが柱にならなくてはいけません。イニングを見ればわかりますが、この3人以外はローテを全く守れていません。出遅れや出てきたのが途中からなどの事情はありますが。
高卒3年目の渡邊が3年目にしては良い成績を残しました。もちろん指標が表すように課題は山積みです。それでも3本柱がある程度計算できる間にプロスペクトの芽が出てきてくれたのは良いことでしょう。ここに名前はありませんが、後半戦良いピッチングを見せた與座にも期待したいところです。ここに加えて隅田、佐藤の両左腕と外国人3人が加入しました。近年の西武の投手陣から考えればかなり整備されてきたのかもしれません。若いので中長期的に計算しやすいので。
<リリーフ>
<主なリリーフ投手の指標> Aveはパリーグリリーフ平均
平良の存在はやはり強みです。四球が平均より多いですが、それを余裕でカバーできる奪三振能力があります。そして被弾もありません。ここまで被弾がないのは若干上振れ感はありますが、素晴らしい成績です。先発転向の可能性もあるのでしょうが、22年はとりあえずリリーフでいくっぽいです。ただ、21年の終盤に足の手術をし、開幕は出遅れるようで、開幕時点でのクローザーは21年は不振に終わった増田でいくようです。19,20年と西武のクローザーとしてチームを支えそれ以前も結果を残している通算144S,120HPの実績ある選手ですし、通算の指標も良いです。平良が出遅れる以上増田が安定すれば再びクローザーとして復活できるかもしれません。
他選手で西武課題の奪三振能力を改善できそうな枠は宮川でしょう。防御率やBB%やHR/9は非常に悪いですが、BB%の高さをカバーしうる奪三振能力があります。どっちかをもう少し改善できれば普通に勝ちパターンやローテ級投手になれる能力があると思います。他の投手も指標はあまり良くないですが、水上はまだ今年で2年目です。森脇も20年はもう少し三振が取れていました。まだまだ成長や改善の余地はあるでしょうし、その他投手の修正にも期待したいところです。
<新加入選手>
エンスは最速156キロの左腕です。マイナーレベルでは、シーズンによってかなりバラつきはありますがK/9はそれなりに高く、BB/9も低く、制球はまとまっていますし、西武の今の先発陣を考えれば十分戦力でしょう。ただ、正直外国人は成績だけじゃわからないことが多すぎます。その人間が日本の文化などに馴染めるか、マウンドが合うか、精神的にもつのか、日本のボールが合うかなど、選手の能力以外でパフォーマンスに影響が出る要素がかなり多いです。そんなこと言ったら何もわからないんですけどね。
スミスはMLB通算102登板13先発ERA6.03で191イニングでk/9 8.67でbb/9 4.10でxFIPは4.90です。制球に課題がある投手です。マイナーレベルでは奪三振能力が少しあがる代わりにbb/9も同時に高く、やはり制球に課題あります。NPBレベルでの適応に期待です。まぁ最初はローテーションやブルペンに入ってくると思います。
ボータカハシはMLB登板はなくマイナーのみです。指標も際立って良いわけではなく、21年は途中からKBOでプレーしていました。6登板ERA4.18と正直目立った活躍はしていません。日本にルーツをもつ日系ブラジル人だそうなので、馴染めるかもしれませんが、あまりにも特筆すべき成績がないので良くわからないといった評価です。KBOでの投球を少し見る限り良い球は放りますし、外国人にしてはまだ若めなので成長させるの込みでならいいかもしれません。22年いきなり戦力となる可能性は低いのかなといった印象です。
隅田は大学通算34登板10勝5敗158.2イニング195k 71四死球 1.76と優秀な成績です。奪三振能力は非常に高いようですが、与四死球率は4.03と制球に課題があります。21年ドラフトはドラフト前の評価で本命と呼ばれるような競合必至のような選手がいませんでしたが、隅田はその中でも4球団競合とプロのスカウトの目には他の選手よりも評価が高かったのでしょう。
佐藤は最速152キロで左腕の球速としては高めで、大学通算与四死球率は2.48とある程度コントロールにもまとまりがあります。佐藤も1位候補でしたが、競合を外してさらに左腕を指名しにいったチームも指名を避けました。彼は4年秋も怪我をしましたし、少し評価が落ちたのかもしれません。能力があっても怪我でパフォーマンスを発揮できない選手はやはり評価が落ちます。まぁこの怪我はそこまで重いものではないのですが、脇腹の痛みだそうで、脇腹の痛みは再発などがしやすいとよく聞きます。この辺が評価を下げた要因だったのかもしれません。カタログスペックで言えばかなり良いですから。
20年ドラフトで評価の非常に高かった早川の大学通算は奪三振率10.48 四死球率2.35で、最速155キロでした。通算防御率はそこまで傑出していませんが、非常に優れた成績です。それに4年秋だけの成績なら、5登板 35.2回 58k 7四死球 防御率0.25 3完投2完封と無双していました。その早川ですら、スタミナ、左打者に投げるボールがないだの明確な弱点が露呈しました。それでも早川は9勝しましたが、二人ともこのレベルを求めるのはちょっと非現実的です。ある程度整備されてきて、二人とも良い投手ですが、22年はそこまで計算しない方がいいかもしれません。ただ、3本柱含め、どの投手も若いのはこれから投手陣を立て直すのには好材料です。22年にいきなり投手が改善する可能性は低いかもしれませんが、これから数年先に投手が弱点でなくなる可能性も十分にあると思います。
外国人成績:fangraphs参照 ドラフト獲得選手成績:ドラフト・レポート参照
xFIPについて
平良の被弾がなかったことを「上振れ」と表現しましたが、これはHR/FB(フライに対する本塁打の割合)が長期的には一定の割合に収束するという研究の結果から、外野フライは一定の割合が本塁打になるであろうという予測を見込んでFIPを算出しようというxFIPという指標の考え方からこのような表現をしました。FIPは被本塁打、奪三振、与四死球のみで投手を評価しようというものですが、いうまでもなく被本塁打は失点への影響がとても強いです。ですが、被本塁打は1シーズンだけの成績ではサンプルが小さいため、運によって揺らぎやすい項目です。その弱点を克服するためのxFIPです。xFIPは予測防御率に近い性質をもつ指標です。本塁打の年度相関が若干低い理由がこれです。以前その話をしたときに長期的には奪三振と与四球だけでも投手の実力がだいたい分かる的なことを言いましたが、xFIPの考えのもとの発言です。もちろん、大体です。それだけで分からないこともいっぱいあるので色んな指標を見比べてみたほうが良いです。何事もそうですが。
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