【パリーグ戦力分析2022】ソフトバンク野手編

戦力分析野手編

こんにちは。ソフトバンク野手編です。WARの値については2/15以降の3年平均pf補正後の値を使用します。まぁWARだけが大事なわけではないし、ソフトバンクの選手はそこまで大きく数値が変わったわけではないのであんま気にしなくて大丈夫です。

<捕手>

甲斐が全試合出場しました。説明不要のソフトバンクのコア選手です。パリーグ捕手の平均打撃指標は.223/.301/.336/.637(打率/出塁率/長打率/OPS)ですが、甲斐は、.227/.305/.353/.658と、他球団と比べて大きなマイナスを作ることなく、高い盗塁阻止率、抑止力とブロッキング能力で守備でも貢献しました。一応、捕手版のUZRをDELTAさんも出しているのですが、そちらの方では評価は高くありません。詳細はこちら。捕手の守備評価を客観的にすること自体が難しいのですが、その評価要素の中でもフレーミング技術がもっとも得点の増減に関わると考えれていて、そのフレーミング評価で大きくマイナスを出しているためです。詳しく理解したい方はリンク先をよく読んでいただくのが一番早いと思います。もちろんこの算出方法で捕手の守備評価のすべてを出来ているわけではありませんし、算出者もそれは分かっているので、直ちに甲斐の守備力は他球団の選手と比べて劣るという評価がくだるわけではありません。よく言われる捕手のリードの評価はほとんどのデータ会社は評価に加えていませんが、一応DELTAさんが過去にリードの効果について研究した記事があるので、興味がある方は一読しておくと良いと思います。なぜリードを評価に加えることができないのかというと、どこまでがリードの影響でどこまでが投手の力なのかを明確にすることが難しいためです。22年で30歳の甲斐ですが、あと数年は捕手のレギュラーとして活躍できそうです。ただ、彼の後釜は正直育っているかどうかでいうと微妙です。今すぐ一軍で使える選手なると海野と九鬼でしょうが、甲斐レベルで信頼できるかというと微妙です。九鬼の二軍成績は.264/.356/.356/.713 k%22%と捕手として考えれば悪くはない程度の成績です。海野は.204/.304/.389/.693 k%21%とちょっと打率と出塁率が厳しい数字です。谷川原もいますが、21シーズンは外野手起用が多く、正直ソフトバンクファンではないので内情に詳しくなくてどういう風に育てていくのか分かりませんし、データだけではそこまで読み取れませんでした。彼ら候補も中堅に差し掛かる年齢です。育成で捕手3人、支配下で名前が挙がった選手以外でも2人若い選手を保有していますが、恐らく、彼らの誰かが甲斐の次の世代の捕手として期待されているのでしょうし、これから数年間でさらに捕手のプロスペクトを獲得していくでしょうし、現時点では正直なんとも言えないです。現状パリーグNo2の捕手ですし、補強は急務ではないため、現時点では高卒の捕手を確保して世代に穴をあけない編成状況になっている感じですね。編成的に大きな問題は恐らくないでしょうが、甲斐の離脱がチームの順位に直結しそうな層の薄さは気になるところです。

<一塁手>

中村晃が中心として出場しました。一塁手は歴史的にも打撃が重視されるポジションで、守備力が軽視されがちです。その中でも21年の中村晃の守備はかなりの高評価でした。詳細はこちら。しかし、21年の彼は.245/.344/.348/.692と打撃面での貢献度がお世辞にも高いとは言えませんでした。そのため、総合指標WARの数値もまあ正直普通です。13~18年の貢献度は高かったものの、3年連続でWARは高い数値ではありません。彼も22年は32となる年です。パフォーマンスの急激な上昇を期待できる年齢でもないため、黄金期から過渡期に入りつつあるソフトバンクにとっては若手の台頭や補強を試みても良いポジションなのかなといった印象です。若手内野手の期待株としてはリチャードや井上でしょう。どちらもサードメインですが、どちらも打撃面の期待が大きい選手ですし、同時に使う場合はどちらかは一塁での起用は十分に考えられます。井上は21年は高卒1年目のシーズンでしたが、打低投高のウエスタンリーグにおいて.246/.308/.702 k% 28%とかなり期待できる数字を残しました。

参考:ウエスタンリーグ平均打撃指標 .243/.309/.359/.669 k% 20%

三振率の高さは気になりますが、高卒1年目のOPSとしては非常に良い数値でしょう。さっきから二軍成績の時だけk%(三振数/打席数)を載せてますが、一軍で一定の成績を残す選手は二軍での三振率やBB/Kの数値が良い傾向にあります。もちろん例外はあります。例えば柳田なんかはブレイク前の2軍でも三振率は約30%です。何度も言いますが、例外はありますし、この数値も大事ですが、OPSの方がさすがに大事です。リチャードは三塁手編で触れます。

<二塁手>

ソフトバンクの長年の課題のポジションです。21年もやはり固定はできていません。中盤からは三森が中心として起用されました。起用され始めた当初は打率も高かったものの、最終的なスタッツとしては、.249/.272/.313/.585と正直苦しい数字でした。特に出塁率の低さは目立ちます。22年も彼は起用されるでしょうが、もう少し四球か打率はほしいところです。その他候補としてはかなりの不振から起用されなくなってしまった周東や、ユーティリティーの牧原でしょう。ただ、牧原も出塁率が低く、守備はどのポジションでも素晴らしいのですが、固定起用となると出塁能力が厳しいです。年齢も若くはありません。22年は周東の復活や三森もまだ若いため成長に期待したいポジションでしょうか。ただ、新戦力としてガルビスが加入しました。MLBでも十分実績のある選手です。いろんなポジションを守りますが、ショートがメインですし、ソフトバンクも穴となる二遊間を埋めてもらいたいと考えているはずです。彼の起用もあるでしょう。セイバー指標では、MLB通算で打撃ではずっとマイナスですが、守備でのプラスが大きい選手です。詳細はこちらでご確認ください。MLBレベルでは打撃面に課題があるようですが、NPBではどうでしょうか。20本以上打ったシーズンが16,19年と二回あります。セカンドにあえてコンバートして打撃負担を軽減させて、打撃に期待する起用法もありますね。まぁ開幕して見ないと分かりませんが。ただ、守備評価もRngRは低下傾向にあり、NPBとではレベルが違いますが、どこまで守備に期待できるかは分かりません。22年オフのFA取得選手に中村奨吾と浅村がいますが、彼らがFA市場に出るのか分かりませんが、出たら正直参戦した方が良いかなといった印象ですね。

<三塁手>

松田が中心として起用されましたが、やはり年齢面で苦しいです。年々パフォーマンスは落ちてますし、出塁率.289でOPSは.696です。それでもまだギリギリ平均程度の打力なのですが、守備面、年齢を考えるとそろそろ若手、具体的にはリチャードや気がはやいですが、井上に定着してほしいポジションです。リチャードは21年にやっとデビューしました。.181/.233/.419/.652と出塁率や打率が今の状態では厳しいですが、116打席という少ない打席数で7本のホームランを放つなど、長打力は本物です。編成的に22年は彼を一軍で成長させながら松田をバックアップで使っていくのかなといった印象ですね。もちろん井上の起用も考えられるでしょう。

<遊撃手>

今宮が中心でした。守備は近年の不調から復活し全盛期並みのパフォーマンスを見せましたが、打撃はキャリアワーストクラスの成績でした。.214/.259/.299/.558です。パリーグ平均出塁率が.315ですから、非常に厳しいです。開幕当初から不振で持ち直すかと思われましたが、結局低調なまま終わってしまいました。22年持ち直す可能性も十分ありますが、正直大きな期待はできません。守備はいまだ健在ですし、22年は彼、ガルビスが中心として起用となるでしょうが、若手のプロスペクトとしては川瀬でしょうか。21年も二軍で .276/.360/.420/.780 k% 10%と良いスタッツです。20,21年と起用されながらもなかなか定着できていませんが、22年は25歳となる年でそろそろ若手でもなくなる年です。そろそろ彼に定着してほしいでしょうし、今宮も31歳となります。育成にたくさん若い内野手はいますが、育成出身で大成する野手は相当少ないです。現状今宮のパフォーマンスが少しでも落ちるとマイナスを作ってしまうポジションです。正直これからもドラフトで新たにプロスペクトが欲しいポジションです。21年は社会人で野村を即戦力期待で獲得しましたが彼の起用も考えられそうです。オープン戦や練習試合での起用に注目したいポジションです。

<左翼手>

栗原が78試合、グラシアルが31試合、中村晃が20試合とその他色んな選手がレフトとして出場しましたが、主要選手がいないために固定できていないというわけではないですし、22年は多分グラシアルの状態にもよるでしょうが、栗原グラシアルが中心となると思います。ただ、問題は次のセンターなんですよね。とりあえず栗原中心の話をします。20年に一軍に定着し、17本のホームランを放つと、21年は.275/.339/.465/.804となかなか優秀な打撃成績を残しました。後述するセンター問題でレフト、ライト、サードなど流動的な起用でしたが、打撃が大きく狂うことなくユーティリティー性も発揮しました。捕手登録から外野手登録に変更しましたし、恐らく、万が一のことが起きない限りは捕手としては出場しないのかなといった感じです。守備面でもどのポジションでも大きなマイナスを作ることなく、WARも高い数値を出しました。そして、グラシアルは開幕当初非常に好調でしたが、怪我で離脱して以降戻ってくることができませんでした。これからも栗原が中心となるポジションでしょうが、栗原もまだ25歳と若く、中長期的に大きくプラスを計算できるポジションになりました。

<中堅手>

内野は苦しいながらも固定できる選手がいましたが、センターに関してはマジでいません。当初は柳田が守っていましたが、UZRもあまりよくなく、言い方は悪いですが、怠慢に見えるような守備もみえ、中盤からはほぼライトでの起用でした。ですが、結局センターとして一番打席に立ったのが柳田と非常に苦しい状況です。柳田ももうあまり若くありませんし、これからはライトでの起用が中心となるはずです。候補としては真砂、上林、柳町、牧原、佐藤となるでしょうが、それぞれのスタッツがこちらです。

まぁ厳しい数字が並びますね。そして彼らは若手と言えるような年齢でもなくなってきています。2018年に規定打席に到達してOPS.803だった上林も三年連続で結果を残せていません。佐藤は打席数が少ないですが、二軍でも目立った成績を残せてはいません。上林の復活に期待するのも正直厳しい状況です。ですが、プロスペクトとしては水谷瞬がいます。二軍成績は、2020年は出塁率.336、OPS.827、k%.301で、2021は出塁率.342OPS.761k%.221と良い数値です。ちょっと情報収集不足で彼がセンターができるのかわからないのですが、俊足かつ強肩でできなくはないはずです。いきなり水谷ということはないかもしれませんが、上記の選手たちがなかなか1軍で結果を出せない中、中長期的には彼にセンターに定着してもらえると計算できるポジションとなれるはずです。練習試合やオープン戦での起用次第で監督の中での序列が分かりそうです。

<右翼手>

栗原と柳田が中心でしたが、栗原は既にふれたので、柳田に関して。22年はライトはほぼ柳田でしょうし。というか説明不要ですね。スーパースターです。WAR変更前は7.0で野手リーグトップでした。変更後は森と0.1差ついて、6.8の2位となりました。ただ、彼にしては出塁率が伸びませんでした。2014年の定着以降で出塁率が.410を下回ったことがなかったのですが21年は.388となってしまいました。彼も確実に衰えつつありますし、22年は34歳となる年です。彼の後釜、彼ほどのパフォーマンスを求めるのは酷でしょうが、リーグの他球団と比べて穴を作らないレベルの選手が欲しいところですね。プロスペクトとしては、センター候補で上がった選手たちや、ドラフト2位で獲得した正木でしょうか。柳田がどこまでもつのかは分かりませんし、正木の二軍成績にもよりますが、今後もプロスペクトを確保していきたいポジションではあります。

<指名打者>

デスパイネが中心でした。彼はシーズンの離脱途中にキューバで近いところでプレーしたいの旨の発言をしていましたが、契約延長で合意しました。デスパイネがいない間はDHをうまく使えていませんでしたが、デスパイネは.264/.373/.437/.810と去年から多少復活をみせました。先述の発言もありますし、22年どこまで彼がやってくれるのかは分かりませんが、22年は恐らく、デスパイネ、グラシアルの起用が中心なのかなといった感じです。または、柳田などのベテラン選手の負担軽減に使われる枠となりそうです。22年におそらくDHが大きな穴となることはないでしょう。

<総評>

21年のソフトバンクは高い得失点差を作りながらもいわゆる死体蹴りのような試合を多くし、接戦を多く落としてしまったことでセイバー評価以上に悪い順位となってしまいましたが、現戦力が他球団と比べて、大きく劣っているわけではありません。1点差のゲームの勝率が8-19と非常に勝ちパターンのリリーフに苦労しましたが、森やモイネロの本来の勝ちパターンなどが働いてくれれば、そして延長12回制となる22年はその厚いリリーフ陣を活かせるでしょう。ただ、野手に関しては外国人や柳田のコア依存傾向が強く、世代交代に若干失敗してしまった感じはあります。もちろん、強い時期もあれば過渡期があるのは仕方ないことではあります。ただ、強いソフトバンクを維持するためにもそろそろ若い野手、特に井上、リチャード、水谷などには期待したいところですね。

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