【セイバーメトリクス】「運」とは何か?

セイバー関連

セイバーメトリクス、野球というスポーツにおいて「運」という言葉は切っても切り離せない関係にありますが、この「運」って言葉の解釈って非常に難しいんですよね。

例えば、被BABIPは投手によってコントロールできないので大体「運」によって決まるとされています。この理論ってセイバーを知らない人からの評判がめちゃくちゃ悪いですよね。「運」で説明されるのが嫌なんでしょうね。

確かに受け入れ難い結論であるのは事実でしょうし、この事実を発見したボロスという研究家も当時これに気づいたときも自身ですら何かの間違いではないかと思ったほどで、当時の周囲からも全く受け入れられなかった理論です。

試合を見てるだけだと、甘い球だから打たれた。今のは低かった分いい当たりだけど飛距離が伸びなかった、良いコースに投げたからいい当たりでも野手の正面に飛んだ。とか皆さんも聞いたことあるようなそれらしい理由を解説者や実況が言っていることがよくあると思います。

これが全部「運」で説明されてしまうのはつまらない気もしますし、投手の働きが無視されるかのような気もします。実際には別にそんなことはないのですが、とりあえずここを膨らませるのはこの辺にしときます。

みなさんはこの「運」って言葉はみなさんはどのように解釈をしていますか?

「巡り合わせ、運命的な何か」とかそんな意味で解釈している方も多いと思います。それは間違っていませんし、もちろんセイバーメトリクスでもそういう意味で「運」という言葉を扱っていることも多いです。

ただ、それだけではないんですよね。統計学をかじっている方ならイメージできる方も多いと思いますが、ある事象において、それを説明する要素はいくつもあると思います。ですが、この事象を説明する要素の中には到底観測しようのない要素というのもあります。

例えば、人間の身長を決める構成要素を考えるときでも、人種、育った国、食べてきた食べ物、遺伝子、環境など、それはもう無限に考えられますが、やはり観測できない要素はあるでしょう。その観測できないブラックボックス的な要素ってありますよね。

このブラックボックス的な何かが「運」ということです。

観測できない何か→説明できない何か→運命的な何か→運としてしまうのはまぁ理に適っているといえばそういう風な気もしますが、やはり少し乱暴にも見えますね。

ここで、BABIPの話に戻りますが、現在の結論では、BABIPを説明するのは要素は「運、投手、守備、球場」だとされており、割合にして、それぞれ44%、28%、17%、11%だとされているようです。出所:BABIP-1.02

しかし、ここでいう運も正直まだまだ分解できるようにも思えます。例えば、打球速度の高低。速度が速ければ速いほどヒットになる確率は高いはずです。そして、打者のいわゆる「配球の読み」など(裏を返せばバッテリーのリード問題)。打者の予測したコースに予測した球が来たらまぁそれは打てる気がしますね。まぁ挙げてたらキリがないのでこの辺で。

このように「運」を分解していけば、BABIPを決定する様々な要素が分かってきそうな気がしますね。しかし、これは被BABIPを調べるにあたって、あんまりいいアプローチではないです。

統計学的な話をすると、目的変数(今回は被BABIP)を説明する要素のことを説明変数(運、球場などの要素)と言います。この説明変数が多すぎると、逆にデータの精度が落ちてしまいます。いわゆる「次元の呪い」ってやつです。詳しい説明は省きますし、正直僕の口から正確に説明できる自信もないので、興味のある方は調べてみると面白いと思います。

打者とバッテリーのいわゆる「駆け引き」が打つか打たないかに何の関係もないとは正直全く思えませんし、多分そんなことはないです。ですが、この「駆け引き」の効用はどう考えても定量化できません。恐らく、この「運」の44%の中の何%かに影響はしているでしょうが、要素をそんなに細分化してしまうと逆にノイズもそれだけ増えます。だから、それらのよくわからない要素や巡り合わせという意味での「運」も含めて便宜上それらを全部「運」という言葉に集約しているわけです。

あんまりこの辺の説明をしているネット上のセイバー系の文献(もしかしたらあるかも)がなかったので書きました。ちなみに全部僕の知識と経験から発言してるので、めちゃくちゃ見当違いなことだったら指摘してください!

これを理解してない方がリードが関係ないわけないから~など色んな反論で対抗してきますが、まぁ現状定量化できないですし、まぁしょうがないですよね。

これは個人的な意見ですが、「駆け引き」って言いますけど、これも運じゃないすか?こんな感じのこと言ったらめちゃくちゃ反論受けましたけど。まぁその辺の話はまた今度。

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